好きな寿司ネタは穴子と平目

anagohirameが短文でないものを書きます

くそなぞなぞ Voluntary Contest 001 の writer をした話

どういう記事?

有志で開催したくそなぞなぞコンテストの解説・講評・雑感を書きます。参加された方,ありがとうございました!

おことわり

前回記事は初投稿ということで丁寧な日本語を心がけていましたが,今回からはそこそこ砕けた文体も辞さず書いていきます。

くそなぞなぞ Voluntary Contest って,何?

去る2020年12月24日,くそなぞなぞ界隈に 店長(@_shop_one)さん の手により shitforces というオンラインコンテストサイトが爆誕しました。直訳すればクソ力。うーんおあつらえ向き。

くそなぞなぞ用に開発されたコンテストですが,実質的に問題と正解があれば有志でいくらでもコンテストが開催できるので,ソートなぞなぞアナグラム。くそなぞなぞになぞらえた名称がつけられている)や部分トーナメント(指定された文字列を部分文字列に含み,かつ特定の条件を満たす文字列を探す。……百聞は一見に如かず!)などの多様な言葉遊び系コンテストが現在に至るまで開催されています。

そこで cumin(@Ohirururu)さん (現在くそなぞなぞレーティング2位)の発案で,有志のくそなぞなぞコンテストを開催することになりました。有志なので voluntary なんですね〜。

anagohirame作問題の解説

cuminさんからの発案により,それぞれが 100〜600点問題1問ずつのセットを作り,それを合わせて12問にしようという構想のもと作成が行われました。 ということで僕が作った問題は偶数問目(B, D, F, H, J, L)でした。正直難しいんじゃないでしょうか。全完者,出るのか。

→ 出た。マジ?

B - 100点,正解者89人(70.0%)

目が21個ある動物なーんだ?

こんな100点問題があっていいのでしょうか。

「目が21個」などで検索すると実は典型問題であることがわかり,解としてサイコロが出てきます。確かにサイコロには1〜6の目,合わせて21個の目がありますね。サイコロはサイ(賽)とも言う(というかコロが後からついた接尾辞だと考えられます。石ころのころと同じ)ことから動物に繋がります。答えはサイでした。「サイコロ」そのものはコロが余計なので不可としています。いや犬ころとか言うけど……まあ。

正直Dの方が難易度としては低いと思いましたが,そのまま検索で解ける+語彙力はそこまで必要としない ということで100点としました。検索なしで自力で解けると結構気持ち良いのではないでしょうか。新機軸の問題だと思います。

D - 200点,正解者94人(72.9%)

「κ's c」これなーんだ?

新機軸問題。実は見掛け倒し。

文字列を丁寧に見ることがポイント。一文字目は英小文字の k(ケー)ではなく,ギリシャ文字の κ(カッパ)です。はじめ κ だとはわからなくても,英小文字ではなさそうと気づけばコピペ検索などをすることでわかります。これを踏まえて全体を英語っぽく読むと「カッパズシー」,そう,答えはかっぱ寿司でした。

shitforces でギリシャ文字が出せるかが当初の懸念事項でしたが,店長さんによると使用可能文字の許容度はかなり広いらしく,絵文字も行けるかもしれないとのこと。新たな時代の到来は近いのかもしれません。

またこの問題を作るにあたって本当にかっぱ寿司の読みが「かっぱずし」なのかを調べたところ,確かに日本語では「かっぱずし」でした。てか違ったらCMソングがおかしい。しかしかっぱ寿司 web サイトの URL をよく見ると "www.kappasushi.jp" となっています。え?
一瞬戸惑いましたが,外国人にとって寿司は sushi として浸透していることから,連濁という日本語内の現象を忠実に反映して zushi とすると混乱をきたしてしまう,という配慮の下このようになっているのではないかと考えられます。興味深いですね。

F - 300点,正解者44人(34.1%)

合流する魚なーんだ?

ようやくの Japanese traditional kuso-nazonazo といった趣。

要素が「合流」と「魚」の二つしかありませんから,これらを言い換えてつなげるしか道はありません。魚を言い換えようとすると全探索への果てしない道のりをたどることとなります。合流を言い換えるといくぶん楽ですが,類語検索だけでなく,英訳も考える必要がありました。「合流する 英語」と検索するとまず出てくるのは join や confluent ですが,他の単語も探すと merge を見つけることができます。マージ,競プロでもよく出ますよね。そう,答えはマアジでした。

シンプルな構造ですがドツボにはまるとキツい。崖になっているかもしれません。あと作った当初は合流の英語といえば merge だと思っていましたが,merge は主には「合併」のニュアンスが強く,日本語でいう「合流」に合致するのは専ら道路の合流を指す用法のようです。参考

H - 400点,正解者19人(14.7%)

1mもない旅行なーんだ?

一手考察を進めるのは容易ですが,そこからは個人差。

「1mもない」が確実に意味ありげなので言い換えましょう。mを素直にメートルと読むと,1メートルよりも短い距離は主にcm(センチメートル)を用いることに思い至ります。かなり妥当かつ選択肢の少ない言い換えですから,これが答えにつながると信じて考えましょう。「センチメートル」の語感に旅行っぽい用語が続くか考えて,「センチメンタル・ジャーニー」(傷心旅行の英語,同名の曲が昭和に流行りました)が思いつくかは人次第でしょう。答えはセンチメートル・ジャーニーでした。「・」の有無は問わなかったのですがどうやらそのまま「センチメンタルジャーニー」の回答が多かったようです。メンタルまでもじってほしかったところ。

若く,かつ昭和の懐メロ!みたいな歌番組をほとんど見たことがなければ厳しかったかもしれません。知識&もじり枠でした。

J - 500点,正解者5人(3.9%)

争いが好きなオタクの料理なーんだ?

何度か出題歴のある俗語問題。どうしてこんなことに……

「争い」を言い換えようとするのは定石ですが,正答に結びつくのはそこで上位に出てくる単語ではありません。「オタク」をどう処理するかがポイント。過去には英訳してナード(nerd)と言い換える問題がありましたが,俗語に言い換える(くBC005-F,くBC007-F など)という準典型と合わせて,他の単語をオタクっぽい言い回しにすることを求めました。「好き」をオタク語に変換すると「すこ」となります。これを suffix に持つ料理としてシュラスコがありますが,残りの部分であるシュラは修羅,すなわち争いの意味を持ちます。答えはシュラスコでした。

……難しいと思います。次の600点よりは簡単だろう&問題としては使いたいということでこの位置にしましたが,難易度逆転してしまいました。反省。

L - 600点,正解者34人(26.4%)

場を凍らせやがる湖なーんだ?

実質無理枠だと思っていたのですが想定をはるかに超えて解かれました。人はすごい。

問題文の構造自体からは典型的なものを感じます。湖そのものを言い換える方向より,それより前の部分をうまく言い換えると何かしらの湖になる方向のほうが有り得そうです。さらに湖全探索は国すら絞られずあまりに多すぎて無謀ですから,前半の言い換えを試みましょう。

場を凍らせるというのがどのようなシーンかを想像してみましょう。しょーもない一発ギャグ,言った人しか笑ってないオヤジギャグ……滑ってますね。ここに「やがる」という意味を言葉をつけようと考えると,言い換えの候補に「おる」が浮かびます。(参考)すべりおる湖……スペリオル湖!ということで答えはスベリオル湖でした。

言い換えの特殊性に加えてスペリオル湖も要求知識の低い語はなく,難しいでしょう。一度「アメリカの湖」とか「五大湖」にしてしまおうかとも考えたのですが,五大湖だと全探索が容易すぎるしアメリカの湖だと五大湖とか有名なやつ以外が答えになる可能性がヤバすぎるのでボツに。今思うとこのままで良かったんですね。すげ〜。

おまけ:M2が苦しむ五大湖なーんだ?→ シューロン湖(ドラッグで読んでください)

cuminさん作問題について

問題選定の際に cuminさん作の問題(ACEGIK)も一度解いたので,こちらについては解いた際の思考過程を記そうと思います。

A - 100点,正解者121人(93.8%)

笑う指なーんだ?

100点ということで指を全探索すればいいだろうと考えた結果,薬指が当てはまりそう。比較的すぐ解けました。答えはクスリ指ですね。

C - 200点,正解者115人(89.1%)

舌を割る楽器なーんだ?

そんな楽器はないので,言い換えを確信。舌を言い換えるとベロ,タン……タンバリン!確かに割れてる〜ということで解ける。タンバリンが正解です。

E - 300点,正解者90人(69.8%)

すぐ光をあてる哲学者だーれだ?

哲学者自体はいくらでもいますが300点ということで比較的有名どころと意識しながら検索。するとソクラテスのソクが目にとまります。残りのラテスは……?と考えると swap でいけることに気づきました。答えはそくてらすです。swapは意外と出ていない形式かもしれません。

G - 400点,正解者47人(36.4%)

連続した破裂音と閃光が楽しめる艦隊なーんだ?

数分考えましたが解けませんでした。艦隊の一種をベースにした答えになりそうで,艦隊といえばバルチック艦隊無敵艦隊連合艦隊など。ここまでは良かったのですが,「連続した破裂音」などで検索しても音声学における破裂音しか目に止まらず,前半が爆竹の説明文であることに気づかず……。ということで答えはバクチック艦隊でした。僕自身は解けなかったものの正解者がほとんど出ないほどではないだろうと思いましたが,果たしてそうでした。

I - 500点,正解者29人(22.5%)

最初の植物なーんだ?

構造がかなり単純で,「最初」を言い換えればいいのではという発想が初手。さらに500点ということでやや高級っぽい言い回しを考えると「始祖」に思い至る。紫蘇ですね。答えはシソでした。

一度 cumin さんから植物を野菜にして難易度を下げようかという提案があったのですが,行けるんじゃないかと続行を提案してみました。そこそこ正解されたようでよかったです。

K - 600点,正解者31人(24.0%)

2点入る点の物語なーんだ?

「点」が二つでややこしい。点を入ると表現するのはたいていスコアにおける点ですから,2点が入るようなスポーツを考えると例えばバスケットボールの通常ゴールなどがありますが,なかなか答えになりそうにない。ということでもっとメジャーなスポーツで2点入るシーンを考えると,野球のツーランに至る。ツーラン,物語……トゥーランドット!あっドットあるじゃん!!ということで解けました。答えはもじってツーランドットでした。

なんとか解けましたがまあ難しいと思います。このあたりが600点適正なのかなという印象。

いかがでしたか?

ぶっちゃけなかなかの虐殺セットだと思います。しかし全完は出た。人類の神秘。

終了後の Twitter を見ていると「そんな言葉知らねえ」が散見され申し訳ない気持ちに多少なりましたが,初めて難易度の肌感を writer 側から感じられ良い経験となりました。お楽しみいただけたならば幸いです。また開催したいですね。

最後に

前回記事で僕が推していた「クソなぞなぞbot」アカウントが,先日諸事情により削除されたようです。R. I. P.